路地裏ブック

本の感想

三津田信三『スラッシャー 廃園の殺人』感想

スラッシャー 廃園の殺人 (講談社文庫)

スラッシャー 廃園の殺人 (講談社文庫)

三津田信三『スラッシャー 廃園の殺人』感想

序盤sawのように惨殺される男女が出てくるけれど、メインは謎の殺人者から廃園(というファンタジーワールド)の中を逃げまどう話。

「殺され方」を楽しむ小説ではなく、ミステリー風のホラー作品である。
ジェイソンに追いかけられるとか、そっちの方に近い。
廃園からの脱出、そして犯人は誰なのか、というのがこの小説の面白みになってくる。

そして舞台となる廃園がなかなかすごい。
謎の失踪をとげたホラー作家が作った廃園なのだが、洞窟あり、迷路あり、砂丘あり、城あり、と、なかなかの四次元空間である。
読んでいてわけがわからなくなるほどだが、逆にそこがおもしろいと思う人もいるだろう。

おれはなかなか良いと思った。
この手の特殊空間は「次に何があるのだろう」と疑問に思わせるところが良い。ぶっちゃけ興味をそそられた。
もともとB級ホラー小説として読んだせいか、そこまで、リアリティの問題は気にならなかった。

BAD

オチが気に入らなかった。犯人も予想の域を超えなかったのだが、そこに対する答えが、そりゃ○○ならそうだよな、という反則みたいなものだった。
作中では何度か人が消えたりするわけだけど、その答えが○○だと言われちゃ肩透かしを食らった気分になる。

ナイフばかりの犯行。
殺人にバリエーションがなく、ただグロいだけでおもしろいとは思わない。趣向を凝らしたものがプロローグのものだけだった。

伏線がわりと残ったまま終わることもいただけない。すべては一蘭だから仕方ないで済むのだろうか。一蘭周りの謎が見事に放置されている。
できれば続編が欲しいものだ。

あと、本題に入るまでが長い。実際に庭園にたどり着くのが69ページっていうのも、なかなか。
それまで、ひたすら車内の登場人物の説明と、うんちくを聞かされる。